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『「人に迷惑をかけるな」と言ってはいけない』書評 台湾と日本の価値観を比較

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   台湾は「シェア(分享)」の文化が根付いていると感じます。 何かもらったらおすそ分けするのが当たり前。フェイスブックでも良い情報は「シェア」で拡散されます。また、家族や友人同士で助け合うことが強く、「困ったら頼るのが当然」という価値観が根付いています。 しかし、日本的な感覚からすると、「不都合なこと」、つまり迷惑もシェアされているように思えます。 例えば、電車やバス、オフィス内での大声での会話、路上駐車などが挙げられます。  特に路上駐車では、フロントガラスに運転手の電話番号を書いたメモが置かれているのをよく見かけます。 これは「もし邪魔になったら電話してください。その時はすぐに車を動かします」という考え方です。  日本では、そもそも相手に迷惑をかける可能性がある行為は控えるものです。しかし、台湾では「迷惑をかけるかもしれないけれど、本当に困るようなら対処すればよい」という発想のように思えます。  こうした違いを実感する中で、『「人に迷惑をかけるな」と言ってはいけない』という本に興味を持ちました。  この本は坪田信貴氏が著した子育て論で、子どもへの接し方や声かけについて新たな視点を提供しています。日本特有の「他人に迷惑をかけない」価値観が、子どもの自己肯定感や主体性を損なう可能性があると指摘し、次のようなアプローチを提案しています。 ポジティブな言葉かけ 「人に迷惑をかけるな」と禁止するのではなく、「困っている人がいたら助けよう」と前向きな表現を用いることで、子どもの協調性や思いやりを育む。 子どもと一緒にルールを作る 一方的に「○○してはいけない」と指示するのではなく、子どもと共にルールを考え、習慣化することで主体的な行動を促す。 可能性を広げる声かけ 「やめなさい」と制限するのではなく、その子に合った可能性を示すことで、自己肯定感を高め、自発的な行動を引き出す。  こうした方法を通じて、子どもが他人の目を過度に気にせず、自分らしく成長できる環境を整えることが大切だと述べられています。  日本の「迷惑をかけるな」という価値観には、秩序を保つという良い面があります。しかし、過度に意識しすぎると、自己肯定感の低下や「人に頼れない」問題を引き起こす可能性があります。  例えば、失敗を恐れるあまり挑戦を避け、「自分の意見を言えない」「助けを求められない」...